ICL手術は痛い?麻酔・術後の痛みの実態を徹底解説


ICL痛い

ICL(眼内コンタクトレンズ)手術を検討する際、多くの方が抱える最大の懸念が「ICLは痛いのか?」という不安ではないでしょうか。

この不安を解消するため、本記事ではICL手術に伴う痛みや不快感の実態を、手術中・術直後・術後の段階に分け、医学的な根拠に基づいて徹底的に解説します。

この記事を書いてくれたのは...

ICL手術は痛い?手術中・術後の「痛み」の結論

ICL手術における痛みについて、結論から申し上げますと、手術中・術後を通じて強い痛みを感じることはほとんどありません。

これは、手術が眼球の表面に麻酔をかける「点眼麻酔」のみで行われるためです。したがって、手術中の痛みはほぼゼロと考えていただいて問題ありません。

一方、術直後から数時間は、麻酔が切れることにより軽度の不快感や異物感(ゴロゴロ感)を自覚することが一般的です。しかし、この痛みは一時的であり、多くの場合、処方される痛み止めで十分にコントロールできます。つまり、ICL手術の痛みは、軽度かつ一時的なものであると理解しておきましょう。この事実は、不安の払拭に繋がる重要なポイントです。

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手術中の痛みは点眼麻酔でほぼゼロ

ICL点眼

ICL手術は、メスで切開する際に全身麻酔や局所麻酔注射が必要な手術とは異なります。

具体的には、手術前に数回、点眼麻酔薬を眼に差すだけで麻酔が完了します。この点眼麻酔により、眼球の表面の知覚は一時的に麻痺します。

そのため、実際にレンズを挿入するために角膜を切開する際や、眼球内で操作が行われる際にも、痛みはほとんど感じません。しかし、全く無感覚になるわけではありません。例えば、眼を押さえられるような圧迫感や、触られているという感覚は残ります。これは、麻酔が効いている範囲が限られているためです。不安な場合は、手術中に医師に伝えることで、麻酔の追加などの対応が可能です。

【手術中】痛みを感じない仕組みと麻酔の効果

手術中に痛みを感じないのは、点眼麻酔が持つ強力な効果によるものです。この麻酔は、眼球の表面を覆う角膜と結膜に存在する知覚神経の働きを一時的にブロックします。したがって、これらの組織が切開されたり、触れたりしても、痛みの信号が脳に伝わりにくくなります。ここでは麻酔の仕組みを医師が詳しく解説します。

1.点眼麻酔薬の作用機序

点眼麻酔薬は、眼球の表面(角膜や結膜)の細胞膜にあるナトリウムチャネルを一時的に遮断する作用があります。このナトリウムチャネルは、痛みなどの感覚を伝える電気信号が発生するために不可欠なものです。

つまり、麻酔薬がチャネルをブロックすることで、感覚神経が痛みの信号を脳へ送ることができなくなります。これにより、切開や操作が行われても痛みとして認識されなくなるのです。しかし、この効果は一時的であり、数時間で薬効は自然に消失します。

2. 麻酔中でも眼球に触れる際の「圧迫感」「異物感」は残る理由

点眼麻酔は、眼球の表面の知覚神経を麻痺させますが、眼球の奥にある視神経や、眼の周りの筋肉への感覚はブロックできません。そのため、手術中に眼球を固定されたり、器具で圧迫されたりする際には、痛みとは異なる「押されている」という圧迫感や異物感を感じることがあります。

これは触覚や圧覚といった感覚であり、痛みとは根本的に異なります。さらに、目を開けているため、眩しさや水が当たる感覚、視界にぼんやりとした影が見えることもあります。これらの不快感は生理的なものであり、異常ではありません。

【術直後~数時間】麻酔が切れた後の痛みと不快感

手術が終了し、時間が経過すると点眼麻酔の効果が徐々に切れ始めます。この術直後から数時間が、ICL手術で最も不快感を自覚しやすい時間帯です。しかし、ここで感じるのは、激しい痛みではなく、軽度な不快感や違和感が主となります。

多くの場合、「ゴロゴロ感」「目に何か入っている感じ」「しみるような刺激」といった症状です。これは、手術のために開けた切開口(創口)や、手術操作による一時的な炎症が原因です。通常、帰宅後に安静にしていることで、時間とともに軽減していきます。

術直後の「ゴロゴロ感」の原因

ICLゴロゴロ感

術直後のゴロゴロ感やしみる感じといった不快感は、主に創口、つまり角膜にレンズを挿入するために開けた小さな切り傷が原因で生じます。この切開口は非常に小さいですが、傷であるため、麻酔が切れると刺激として認識されます。

例えるなら、目の表面に小さな砂が入っているような異物感に近いものです。また、手術操作による一時的な角膜の乾燥や刺激もしみるような感覚を引き起こすことがあります。しかし、これらの症状は、創口が治癒に向かうにつれて、数時間から一日以内に急速に改善していきます。

痛み止め(内服薬)の使用とタイミング

ICL内服

術直後に不快感や痛みが増強してきた場合に備えて、多くの医療機関では痛み止めの内服薬が処方されます。この内服薬を効果的に活用することが、術後の不安や不快感を軽減する鍵となります。

痛み止めは、我慢できないほどの強い痛みが生じたときだけでなく、不快感が強くなる前、例えば帰宅直後や就寝前など、効果的にリラックスしたいタイミングで服用することが推奨されます。ただし、過度な連用は避けて、処方された用法・用量を守ることが重要です。

【術後1日~数週間】持続する痛みや違和感の原因と対処法

ICL手術の翌日以降、数週間にわたって持続する痛みや違和感を感じることがあります。しかし、これは手術そのものの痛みというより、術後の回復プロセスに伴う二次的な症状が原因です。具体的には、軽度な炎症やドライアイが主な原因として挙げられます。

これらの症状は、適切な点眼薬の使用や生活習慣の改善によって管理することが可能です。術後の定期検診では、これらの状態を医師が確認し、必要に応じて処方の調整が行われます。

炎症・ドライアイによる痛みと点眼薬の役割

術後の違和感や軽い痛みの原因として、炎症とドライアイの二つが重要です。手術による刺激で、眼は一時的に炎症を起こします。この炎症が違和感や軽い鈍痛として認識されることがあります。この炎症を抑えるために、ステロイドなどの抗炎症点眼薬が処方されます。

また、手術により一時的に角膜の神経が影響を受け、涙の量が減少したり、質が変化したりしてドライアイになることがあります。ドライアイもゴロゴロ感や痛みの原因です。これにはヒアルロン酸などの保湿点眼薬が有効です。点眼薬は医師の指示通りに正しく使用しましょう。

強い痛みが持続する場合の緊急連絡の目安と注意点

ICL救急車

ICL手術後の痛みは軽度かつ一時的であることが原則ですが、万が一、予期せぬ強い痛みや持続する不快感が生じた場合は、緊急で医療機関に連絡することが極めて重要です。

緊急連絡の目安としては、痛み止めを服用しても全く改善しない場合や、時間が経過するにつれて痛みが悪化していく場合が挙げられます。

また、痛みとともに急激な視力低下、吐き気・嘔吐、光が異常に眩しく感じる(羞明)、目の充血が増強するといった症状が併発した場合は、合併症の可能性もあるため、直ちに手術を受けた施設に連絡してください。不安を感じたら、自己判断せずに相談することが最善の対処法です。

まとめ|ICLの痛みは軽度で一時的

ICL手術の痛みに関する医学的な結論は、「ICLは痛い」という不安は根拠がなく、実際は軽度で一時的な不快感に留まるということです。手術中は点眼麻酔により痛みはほぼゼロであり、術直後のゴロゴロ感も創口の治癒とともに速やかに改善します。

この不安を解消するために、正しい知識を持つことが最も重要です。さらに、術後に処方される点眼薬や痛み止めを適切に使用することが、快適な回復をサポートします。強い痛みや異常を感じた際は、必ず手術を受けた医療機関に連絡する体制が整っていることを確認しておきましょう。ICLは安全性と有効性が確立された手術であり、痛みの心配から解放され、適切な判断を下せることを願っています。

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参考文献

・日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)「有水晶体眼内レンズ(ICL)情報サイト」(詳しくはこちら