ICLは一生持つ?寿命・交換・長期使用リスクを徹底解説


ICLは一生モノ?

近視や乱視の視力矯正手術として注目されている「ICL(眼内コンタクトレンズ)」。

近年はレーシックに代わる選択肢として人気が高まり、多くのクリニックで「ICLは一生モノのレンズです」と説明されます。

しかし、「本当に一生交換しなくていいの?」「年をとったらどうなるの?」と不安に感じる方も少なくありません。

この記事では、ICLの寿命・交換の可能性・長期使用時のリスクについて、最新の臨床データと専門医の見解をもとに徹底解説します。

この記事を書いたのは...

ICLとは?

ICL(眼内コンタクトレンズ)とは、目の中に専用レンズを挿入して視力を矯正する治療法です。

手術では、以下のように虹彩と水晶体の間にレンズをそっと固定します。

メガネやコンタクト同様にピントを合わせることで、視力を上げることが可能です。

ICLが「一生モノ」と呼ばれる理由

ICLのレンズ素材には「コラマー(Collamer)」という生体適合性の高い特殊ポリマーが使用され、人体との親和性が極めて高く、長期間眼内にあっても劣化や炎症を起こしにくいのが特徴です。

STAAR Surgical社の公式見解によれば、「コラマー素材は50年以上の耐久性を持ち、経年劣化による交換は不要」とされています。

レンズが外気や涙に触れることもないため、コンタクトレンズのような「寿命」や「定期交換」の概念が存在しません。

つまり、“一生モノ”という表現は「レンズ自体は生涯にわたって劣化せず、基本的に交換不要」という意味で使われています。

ICLの寿命と長期使用データ

ICLの長期データはすでに世界各国で蓄積されており、術後10〜20年経過しても視力が安定している症例が多く報告されています。

臨床研究では、術後10年以上経過しても90%以上の患者が裸眼視力1.0以上を維持しており、視力の長期安定性は非常に高いことが示されています。

さらに、角膜の透明度を保つ「角膜内皮細胞」への影響もごくわずかです。ICL後の角膜内皮細胞減少率は年間0.3〜0.4%で、自然老化(約0.5%/年)とほぼ同水準。

つまり、ICLによる角膜への負担は極めて軽微です。

また、STAAR SURGICAL社の最新モデル「EVO+ホールICL」では中央に小孔が設けられ、房水(目の中の液体)の循環が改善しております。

感染症など重篤な合併症も非常に稀で、**眼内炎の発症率は0.0167%**と極めて低く、ICLは長期的に見ても安全性の高い手術といえます。

ICLの交換が必要になるケース

ICLとレーシックの違い

ICLは「原則として一生使用可能」ですが、以下のような例外ではレンズの交換や摘出が行われることもあります。

近視・乱視度数の変化

若年で手術を受けた方は、その後も近視が進行する場合があります。

度数のズレが大きくなると、レンズを新しい度数に交換することがあります。

ただし、頻度は全体の1%未満と非常に少数です。

白内障の発症

加齢により水晶体が濁る白内障が進行した場合、ICLを摘出して白内障手術(人工レンズ挿入)を行います。

ICLは柔らかく癒着しないため、10年以上経過後でも容易に取り出せます。

レンズサイズ不適合や位置ずれ

まれにレンズサイズが目に合わず、高伏(vaultが高すぎる)や低伏を起こすことがあります。

この場合は再手術でサイズ交換が行われます。

クリニックによっては、術後3年以内の無料交換が可能です。

ICLを「一生モノ」にするために

ICL執刀医は「ICLは構造的に一生使えるが、油断は禁物」と口を揃えます。

ICLを長期的に安全に使うためのポイントは次の通りです

⭐️年1回の定期検診を欠かさない

 視力、眼圧、角膜内皮細胞数、レンズ位置(vault)をチェック。

 異常があれば早期発見・早期対応が可能です。

⭐️見え方の変化を放置しない

 視力低下やまぶしさなどの変化があれば、早めの再診を。

 近視の再進行や白内障の初期変化のサインである場合もあります。

⭐️加齢変化を前提に考える

40代以降は老眼が進行しますが、ICLを外す必要はなく、老眼鏡で対応可能。

将来的に白内障が進行すればICL摘出+IOL交換が可能です。

⭐️信頼できるクリニックを選ぶ

手術技術だけでなく、術後フォロー体制が整っているかも重要。

長期的に通える医療機関を選ぶことが「本当の一生モノ」への第一歩です。

専門医の間では、「ICLは“レンズが一生モノ”なのではなく、“患者と医師の関係が一生モノ”」という言葉もあるほど。

定期的なケアこそが、ICLを生涯安全に使い続ける最大の秘訣です。

まとめ

ICLレンズは、耐久性に優れた素材と安全な設計により、基本的に一生交換不要の視力矯正法です。

術後の視力安定性、角膜への負担の少なさ、可逆性(取り外せる安心感)など、他の治療法にはない長期的なメリットがあります。

ただし、「一生モノ」であるためには、

定期検診・早期対応・信頼できる医師という3つの条件が欠かせません。

年に一度の検診を続け、目の変化に合わせて医師と二人三脚で管理していくことが、ICLを“真の一生モノ”にする唯一の方法です。

あなたの目の健康を守りながら、ICLがもたらすクリアな視界を長く楽しんでください。