ICLとレーシックの違いは?

近視の矯正手術といえば「レーシック」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、近年「ICL(眼内コンタクトレンズ)」という選択肢も広く知られるようになり「結局どちらがいいの?」と悩む方が増えています。
今回は、眼科医の視点から「レーシックとICLの違い」をわかりやすく、そして正直に解説します。
この記事を書いてくれたのは...
そもそも「ICL」と「レーシック」の原理は?
人の目は、カメラのような構造をしています。
外からの光を、角膜と水晶体という2つの“レンズ”で屈折させ、網膜にピントを合わせることではっきりものが見えているのです。
しかし、眼球が長すぎる等の理由で、本来網膜でピタッと合うはずのピントが、手前で合ってしまうことがあります。
これが皆さんが悩んでいる近視です。

ICL(有水晶体眼内レンズ)の原理

角膜や水晶体には手を加えず、新しく「薄いレンズ(ICL)」を眼内に挿入します。
この人工レンズが追加の屈折力をもつので、網膜に正しくピントが合うようになります。
①元々の目の構造を一切削らないこと
②目の中に高精度なレンズを挿入すること
がポイントです。
レーシックの原理

角膜の形をレーザーで削って調整し、光の屈折の力を弱め、網膜でピントが合うようにします。
外側の角膜だけを治療し、眼内に全く作用しないことがポイントです。
「ICL」と「レーシック」それぞれのメリット・デメリット

ICL(有水晶体眼内レンズ)のメリット
①元の目の構造(角膜)を一切削らないことによるメリット
・自然でクリアな見え方が得られる
・将来取り外して元に戻すことも可能
・角膜にダメージを与えない分、ドライアイのリスクも少ない
②高精度なレンズを挿入するメリット
・強度近視や薄い角膜の方にも対応できる
レーシック(LASIK)のメリット
眼内を触らないため、眼内炎による失明のリスクはほぼ0
また、機械で自動で角膜を削るので、ICLに比べて術者に影響されません。
ICLとレーシックを比較
それではまとめです。
ICL | レーシック | |
手術方法 | 目の中にレンズを挿入 | 角膜を削る |
見え方 (光の屈折) | 角膜を削らないので、自然 | 微妙に乱れることも |
元に戻せる | 戻せる | 戻せない |
矯正範囲 | -3.0〜-18.0D 幅広い | +4.0D〜-8.0D 範囲が狭い |
角膜の形状に依存 | 角膜が薄くてもOK | 角膜が薄いと手術不可 |
ドライアイ | 影響なし | 悪化させる可能性あり |
紫外線ブロック | レンズにUVカット機能 | なし |
費用 | 高い | 安い |
眼圧上昇・眼内炎 | リスクあり | リスクほぼ0 |
結局、どっちを選べばいいの?

個人的な事情を除き一般的なことを述べるなら
- 見え方にこだわる方、やり直しが効く安心感を重視する方、強度近視の方、角膜が薄い、ドライアイがある方⇨ICL
- 費用を抑えたい方、眼圧が高い方、目の中に異物を入れるのが怖い方⇨レーシック
となります。
最後に:医師として個人的な考え
視力は人生の質を左右する大切な要素。
ここに書いたことは一般的なことですが、治療法はあなたの目の状態やライフスタイルに合わせて選ぶのが大切です。
まずは信頼できるクリニックで「適応検査」を受け、自分に合った選択肢を医師と相談してみてください。
じっくり納得した上で、後悔のない選択をしていただきたいと願っています。